20210403 基本無料ゲーム/サンクコスト

先月から久々にiPhoneスマートフォン向けのゲームをやっていたけれども、辞めた。

基本無料のゲームは恐ろしいとつくづく感じた。無料でかなり多くの内容を遊べてしまうので、大量の時間をプレイに費やしてしまう。ちょっと体験してみよう位の気持ちで始めたはずなのに、毎日ある程度の時間を使って遊び続けてしまうことができる。そしてかなりの自分の時間を費やしてしまった結果、「ここまで時間をかけて遊んだのだから辞められない」という気持ちにさせられてしまう。ゲームに中毒性があるだけではなく、ずっと続けていたのだから今更辞められない、という義務の精神を心の中に植え付けられてしまうのだ。

そしてその状態でゲームを続けていると、時間をかけてもなかなかゲームが進展しなくなってくる。こうなってくると、遅かれ早かれ「時間をお金で買った方が得」と判断してしまう分岐点が訪れる。恐ろしいのは、今更辞められないと思いながらゲームを続けているので、このゲームを辞める、このゲームにはもう時間を使わない、という選択肢がこの時点では頭に浮かびにくいのだ。もっと自分の時間を費やすか、お金を使って時間を節約するか。ただここでお金を使ってしまうと、より今更辞められない気持ちにさせられてしまい、更にずるずるとお金を吐き出すことになってしまうだろう。蟻地獄だ。


最初にサンクコストを発生させて、心理的に抜け出せないようにする。よくできているなと感心する。私が遊んでいたゲームは無料でもストーリーの大部分は楽しめるのだけれど、他のプレイヤーと関わることでゲーム進行を効率化させる機能が付いていたり、より時間やお金を費やすことで先に進める余地がある以上、それを無視して無料の範囲だけでプレイを楽しむことは、私には難しそうだった。ある程度の部分だけ攻略して我慢する、というのはゲームを楽しむ姿勢として矛盾している気がするけれど、これは従来の買い切りゲームで育ってきたからだろうか? ゲームをクリアせずに辞めてしまうのは難しい。基本無料のゲームを遊び慣れている人だと、また違った感覚になるのかもしれない。

こういった体験をすると、ナニワ金融道先物取引に引きずり込まれた教頭先生のエピソードを思い出す。自分のこれまで費やしたお金や時間に囚われて、ずるずると限界までお金を吐き出してしまうのは、うまい投資話でもゲームへの課金でも同じだと思う。子供がこういったゲームに足を突っ込んでしまったら、親は大変だろう。いまのゲームに実装されている「年齢によって課金額を制限できる」というのは根本的な解決ではなく、将来に大きく課金する予備軍を養成しているだけだろう。基本無料のゲームでもスキンに課金させるゲームの方が余程健全だとは思う。