20210418 変わらずあり続けていること

ライブを観に行った。コロナ禍前にも観たことがあるアーティストのライブだった。

観客一人一人に対する細かいチェックを受けて足を踏み入れたフロアには不安が漂っていた。非常事態であることを肌で感じている多くの観客は黙って腕組みをして開演を待っている。フロアの観客を減らしているとはいえ、普段のライブハウスであればもう少し開演前特有の騒がしさがあった。このコロナ禍の状況において、フロアの息苦しさは「比喩」ではない。ライブハウスの雰囲気を楽しむためではなく、単にライブ演奏を聴くために集まった人たちが、息を殺して開演を待っていた。

そしてライブは変わらずそこにあった。変わらなければならないことが多い今、変わらずにそこにあるものにここまで心動かされるとは! 水を口にして初めて喉が渇いていたことに気付くような感覚があった。普通ではなくなった状況においては、変わらずあり続けるていることこそが新鮮なのだ。

またライブはできなくなる日々が来る。感染者が増えたり減ったりして、活動を制限して再開して、先が見えないまま何に振り回されているのだろうと感じることもあるけれど、またいつかこういった日が戻ってくると思えることが、一つの灯火となっている。